三谷幸喜の「王様のレストラン」はあらゆる意味で名作だ

数年前にDVDボックスを買ったものの全然見ていなかった「王様のレストラン」。先週、会社の宴会でなぜか「王様のレストラン」が話題になり、同僚と盛り上がったのがきっかけで、土日の夜中にDVDを駆け足で見てしまった。

同僚も熱く語っていたけど、やっぱりこのドラマは名作だわー。ちなみに三谷幸喜のドラマの中では最高傑作だと思う。ついでに、宮崎駿の作品ではラピュタが最高傑作だと思う(全然関係ない)。

さて、このドラマが放送された1995年当時はまだ学生だったので、あまり感じなかったことなんだけど、今見ると経営再建の過程を意外とリアルに描いているなと思った。例えば、無駄なコストの削減。人件費に手を付けずに済むよう、オーナー・禄郎くんが徹底的に計算してコスト削減を達成するエピソードがある。私の勤め先も、不景気になって経営状態が悪くなると真っ先にコスト削減に取り組んだので、考えることは同じだ(ただしうちの場合は非正社員の人件費も削減したけど・・・)。

コストを削減しても、そもそも売り上げが増えないことにはどうにもならないので、次にすることとしては客を呼び戻すための目玉商品の開発とか、品質向上があると思う。ドラマでも、伝説のギャルソン・千石さんと、シェフ・しずかが店の目玉料理となる新作の研究開発をするエピソードがあった。そしてその料理がヒットしてお客さんが増えてくると、今度はデザートのレベルが料理に合わないことが問題になり、その向上をめぐって千石と禄郎が対立するエピソードがあった。一流店を目指すためには、パティシエ・稲毛のままでは無理だと言う千石に対して、あくまで今いるメンバーのままで挑戦したい、それがダメだというなら一流になんかならなくて良いと主張する禄郎。結局、人材を入れ替えずに質の向上を目指すことになるわけだけど、最後は千石も納得のデザートを稲毛が作ることができて大団円になる(←だいぶはしょってるな)。

まあドラマなので、料理が簡単にヒットしたり、次々と奇跡が起きたりもするのだけど、ビジネス視点で見てもかなり楽しめると思った。もちろん、何と言っても三谷幸喜ドラマなので笑えるシーン満載だから、単純にコメディとして楽しむのが王道ではあるけれど。

ところで、1995年というと、1961年生まれの三谷さんは30代半ば。今の私と変わらない。この作品が一番だなーと(個人的に)感じるということは、ミドルサーティーってやっぱり一番油が乗った時期なのねえと思ってしまった。働く30代としても、いろいろ考えさせられるな。

しかしこのドラマって15年も前なのね!はやりすたりに関係ない題材だから、今見ても十分面白い。そして山口智子の脳内イメージは、この頃で止まっていることに気がついた。最近はあまり露出してないから年を取った印象がないせいだと思うけど、映像を見て「若い!」ってあまり思わなかった。調べたら、山口さんも今や40代半ばらしく、驚いてしまった。

こういうドラマを、今のテレビで見るのはもう難しいのかしらねえ。件の同僚に今DVDを貸しているので、戻ってきたらコメンタリーを見てみよう。

王様のレストラン DVD-BOX La Belle Equipe

王様のレストラン DVD-BOX La Belle Equipe