交渉人 真下正義

正直、観る前はそんなに期待していなかったんですが・・・あの完成度の高さには驚きました。個人的には、少なくとも「踊る2」より映画としての完成度は高いんじゃないかと思ったくらい。やっぱり観て良かったです。

青島などのレギュラーメンバーがほとんどいないので、本編を知らない人でも普通の映画として観られると思うし、「踊る」を観続けている人には思わずニヤリとするような部分があるしで、どっちにしても観て損はないかな、という感じです。

ただ残念なのは、例の電車事故を彷彿とさせるシーンがあるため、公開時期が悪かったということ。映画は映画で現実とは違うんだけど、やっぱり事故の関係者にとっては愉快なことではない・・・ですよねえ。

つうかあの事故がなかったとしても、地下鉄のパニックシーンは「地下鉄乗れなくなるかも」と思ったほど恐怖を感じましたが。だって路線名こそ架空の名前にしてあるけど駅名は実在するものだし、私なんか普段よく使う駅そのものが出てくるんだから!リアルすぎるって。

まあ、それだけよくできているということなんですけどね。観て損はないと言いつつも、手放しで喜べない部分があるわけです。いやホントよく公開したよ。

さて、以下は細かい感想です。ネタばれを含むので、これから観る方はご注意を。

  • 木島役の寺島進さんがカッコイイ~。最初は「なんだこのガラの悪いオヤジは!」と思ったけど、すっごくいい味出してた。真下におだてられてニヤリと照れる場面もステキだ!しかし刑事には見えません。どう見てもチンピラだって。
  • 総合指令長の国村隼さんも良かった!コワモテの地下鉄マンぶりと、「お母様」なんて言っちゃうギャップがおかしくて。真下をだんだん認めて信頼していく様子とか上手いよなあ。あと、最後にたばこを吸うシーンがとても印象的。
  • 「線引屋」の金田さんは、和久さん的な存在だったのかな。彼がいたことで、より締まったというか。こういう、脇を固める役者さんたちがベテラン揃いだったのも、この映画の完成度が高いと感じる所以だろう。
  • この映画を評して、プロフェッショナルな男たちのドラマだと誰かが言っていたけど、まさしくそういう感じだった。地下鉄関係者はもちろん、真下の部下たちや爆発物処理班や毎度おなじみSATなど、あらゆる分野のプロが出ていたな。中でも「線引屋」は本当にマニアック。
  • 爆発物処理班が登場するのは、テレビシリーズ第2話以来だそうで(パンフレットより)。しかもちゃんと同じ役者さんが登場。そんなこと知ったらテレビシリーズが見たくなってきたよ。ビデオ持ってないけど。
  • 源さんこと小林隆さんが地下鉄職員だったよ!出演してるとは知らなかったので驚くやら嬉しいやら。結構出番多かったし、業者だとかあちこちに気を配る姿はまさしく源さんだったし、それだけでおもしろかった。
  • オーケストラの一員として(しかもある意味すごく重要な役として)今井朋彦さんも出ていた!最初に映ったとき思わずニヤリとしてしまいましたよ。小林隆さんが出てることもあって、あれ、これって三谷幸喜ドラマだっけ?と一瞬錯覚してしまった。
  • 小池くん(小泉孝太郎)はいつの間に真下の部下に?いやそれよりも、室井さんて真下の上司だったんだ!
  • ユースケが主演だなんて、どうなることやらと思ったけど、なかなかいいじゃないですか。いくら脇の役者さんたちがしっかりしていても、やはり主役がダメだとどうにもならないからねえ。十分安心して観られたよ。
  • 真下の恋は成就したようで。7年越しか~、長かったね、良かったねえ。そして雪乃さんとの今後が気になるところだ。
  • ちなみにあのコンサート会場は東京国際フォーラムだったようですね。最後のシーンで出てきた、足下がライトアップされた場所はたぶんあそこの中庭でしょう。くー、そんな近くで撮影してたのか~。知ってりゃ見に行ったのに!(もっとも、深夜だったかもしれないけどね)
  • 映画の冒頭がとてもシリアスだったので、このまま笑いの要素は1ミリもなく進むのかな?と思ったけど、「踊る」的な笑いがちゃんと盛り込まれていたので安心した。まあ、あのテーマで笑いは不要と思う人もいるかもしれないけど、あくまで「踊る」の一部なので、あの世界観は欲しいしね。
  • しかしスリーアミーゴス不在で「踊る」的な世界が成立するというのは、それはそれですごいことだ。
  • ボレロ」がまるまる流れていたみたいだけど、そういう音楽の使い方は案外珍しいかも。劇中で演奏する音楽がBGMとして使われることはよくあるけど、たいがい途中でカットされたりフェードアウトしたりするんじゃないかと。しかもあれって本当にオーケストラの演奏だよね。なんか得した気分だった。
  • ちなみに指揮者の西村雅彦が登場しただけで劇場内に笑いが起こったんですが、この映画は全国的にそうなんでしょうか?それとも私が観た回だけたまたま?
  • そういえば、「踊る」でおなじみのBGMは一切使われてなかったような。オープニングやエンディングも既存の有名曲だったし。その点からも「踊る」とは違う制作者の意気込みみたいなものを感じた。
  • あの「クモ」という車両が最初に現われたとき、電飾トラックみたい~と思いましたが、デザイナーさんが相当気合いを入れてデザインしたものなんですねえ。ちょっとビミョーだと思ってしまったのですが・・・。

とまあ、とりとめもなくだらだらと書いてみましたが、キリがないのでこのへんで。とにかく、私にしては珍しく「もう一度観に行ってもいいな」と思った映画でした。後でパンフレットを見たら、見逃している小ネタが結構あったのでね。