ブタがいた教室

6月17日の金曜ロードショーで放送していた「ブタがいた教室」を観た。これ、公開当時にとても気になって、観たいと思っていた映画だったのだ。

6年2組の担任、星先生(妻夫木聡)が教室に子豚を連れて来て、この豚をクラスみんなで飼って最後は食べよう、と言い出すのが始まり。「Pちゃん」と名付けたその豚の世話をしたり、Pちゃんと関わることでクラスが団結していく様子が楽しかったのは最初の30分くらいで、その後はPちゃんを本当に食べるのか食べないのかについて議論に次ぐ議論が続き、重苦しい雰囲気になっていく。食べる派(食肉センターへ連れて行く)と生かす派(彼らの卒豪後に3年生が世話を引き継ぐ)の意見はどちらも一理あって、ハーバード白熱教室小学生版みたいなディスカッションの場面に引きこまれた。後で調べたら、子役たちには子供たちの台詞だけが白紙の台本を渡して結末を知らせないまま撮影をしたとのこと。それもあって、ドキュメンタリーを見ているようなリアルさがあった。妻夫木も演技をしていないような自然な雰囲気を出していたし。

卒業が迫り、結論を出さないといけないけれど、そもそも何が正解というわけではないことなので、大人にだって判断が難しい問題だと思った。これは実話をもとにしているそうで、実際の教師と子供たちの様子はテレビのドキュメンタリー番組でも放送され、当時は賛否両論いろいろあったとか。そりゃそうだろうな。先生が出した結論に私も「えーっ!」と思ってしまったから。

でも、絶対的な正解のないことについて精一杯考え、ディスカッションすること、そして結論を出すことの難しさを小学生で体験した(させた)ことにこそ意味があるのではないかと思った。結末はなんとなく後味悪かったし、あの後本当はどうなったのかとか疑問がわくのは確かだけど、制作側が伝えたかったのはそういうことなんではないかと。

原作はこれだそう。

豚のPちゃんと32人の小学生―命の授業900日

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