南極料理人

子育て中ゆえなかなか映画館に行けない日々。この連休にようやく念願かなって2年ぶりに映画館で映画を観た。「アマルフィ」と「サマーウォーズ」とどれにするか迷ったけど、やっぱり堺雅人が出ているということで「南極料理人」に決定。

とはいえ、最初の何分かを見たときは、途中で飽きちゃうんじゃないかと心配してしまった。「南極で1年生活する」という設定こそ非日常的ながら、特にドラマらしい盛り上がりがあるわけでもなく、割りと淡々と日常生活が描かれていきそうな感じだったので。

でも、意外なほど時間が過ぎるのが早くて、気がついたらもう主人公一行が帰国する時期にきていた。そこまできたらあと少しでエンディングだということは分かったので、あれ?もう終わりなの?と思ってしまった。よく考えると、確かに大した事件は起きなかったけれど、ときどき主人公の回想を織り交ぜたり、基地での季節のイベントが登場したり、隊員たちの葛藤が描かれたり、あと随所に小ネタや伏線が配置されていたりと、飽きないようにうまく作られていたのだと思う。役者さんたちの芸達者ぶりも一役買っていた。

さて、以下はネタバレ感想なのでご注意。

  • 映画を観る前に夕飯を食べたので、実は思ったほどお腹がすく感じはしなかったんだけど、それでも印象に残った食べ物がいくつかあった。巨大な伊勢エビフライ、焼肉じゃなくてローストビーフ、そしてラーメン!
  • ミッドウィンター祭でのフレンチのフルコースディナーにビックリ。みんな正装していてなんか笑える。というかキチンとスーツを着ると普段ムサイ観測隊員たちもそれなりに見えるので不思議。
  • 兄やんの彼女が急に「女友達と箱根に行く」と言い出したあたりで、この超遠距離恋愛がダメになるのは予想できたけど、その後まさかの展開。そこへ行くのか!という感じ。
  • そんなにしょっちゅう電話しなくてもメールすればいいのに、と思ってしまったけど、1997年当時はそこまで通信は整ってなかったんだなあ。パンフレットによると、最近はやはりメールでのやり取りができるようになっているようだけど。ということは、兄やんが彼女にふられた後の行動ってやはりあの当時ならではのエピソードだよなあと。
  • 「渋谷に行きたい・・・」とか「パチンコしたい」とか、「僕の体はラーメンでできている」とか、笑えるんだけどとても切ない。
  • どんどんバーになっていく医務室(?)にも笑った。
  • 堺雅人が映画の宣伝とかでさんざんおにぎりの話をしていたけど、そのシーンは最初のほうだったせいかあまり印象になくて、やっぱりエビフライのほうがあまりにインパクトがあった。
  • 唐揚げのエピソード。西村家での「胃がもたれる」唐揚げと南極での男の手料理な唐揚げがうまくリンクしていて、その前の娘の歯のこともあって西村(堺雅人)が思わず泣いてしまうという流れがうまいなあ〜と思った。
  • この泣くシーンは、ほぼ日の「堺雅人さんと、満腹ごはん。その3」によると、最初の台本ではもっと分かりやすく背景が描かれていたけど最終的に外したとのこと。それでもあそこで泣くということは、上にも書いたような流れがあったので十分理解できたし、描かなくて正解だったと思う。あまり説明的になりすぎると余計な感じがしただろうし。
  • というわけで、なぜ泣いたのかは観た人それぞれの想像に委ねられるのだけど、個人的には、「油っこい唐揚げに家庭の味がして里心がついたから」というのと「隊員たちが一生懸命作った唐揚げが、奥さんが作ったのと同じくらい油っこかったので、あの時せっかく作ってくれたのに文句を言ったことを済まなく思ったから」という理由を思い浮かべた。
  • 娘の声だったら気がつきそうなものなのに、西村は本当に「ゆかちゃん」の正体に気がつかなかったのかな?
  • 元素記号上の理論通りにラーメンが作れたことに感動。そして、オーロラを観測しないといけないのに、「んなもの関係ない!」と言い放つ隊長に爆笑。気持ちは分かる。「のびちゃうから」の連呼にもウケた。
  • 最後には家族みたいになっていた観測隊員たち。西村はお母さん(割烹着まで着てたし)で、もとさんはお父さん。そこまではすぐ分かったけど、後の人たちは、パンフレットによると、隊長が「おばあちゃん」でドクターは「居候のおじさん」で、とちゃんと役割が振られていたことが分かり、なるほどと思った。
  • しかし南極に派遣される料理人というのは、あんなに何でも作れるものなのかなあ。ラーメン手作りしたりフレンチのコースができたりって、幅が広すぎる!