お正月単発ドラマ「タイガー&ドラゴン」

タイガー&ドラゴン (2005/1/9放送、TBS)

おもしろかった!やっぱりクドカンドラマは期待を裏切らないよ〜。

口下手で悩んでいるヤクザが、借金の取り立て相手である落語家の噺に感動して弟子入りする、という粗筋だけですでにおもしろそうな雰囲気なのに、配役も脇に至るまでバッチリでさ。

大化改新」での岡田准一は微妙な感じだったけど、林屋亭どん兵衛西田敏行)の次男坊で落語の天才・竜二の役はすごく自然で良かった。こういう役のほうが合ってるんじゃないの。しかも顔はイイのに、ダサいデザインセンスの洋服屋店長だなんて!

そしてもう1人の主役、長瀬智也は“新宿で一番話がつまらない”ヤクザの虎児。これまたぶっきらぼうで笑いのセンスに乏しい男の役がうまくハマっていた。「弟」で演じた石原慎太郎とは全然違うんだもんなー。

本業が落語家の笑福亭鶴瓶がヤクザの組長で、ヤクザの組長を演じたことのある西田敏行が落語家、というのもおもしろい。本物の落語は春風亭小朝ぐらいしか聞いたことはないけど、西田敏行の噺は上手かったと思う。途中で劇中劇が挟まるという演出が良かったのかもしれないけどね。

どん兵衛の長男で竜二の兄・どん太は阿部サダヲ林家ペーみたいな格好(というか1人だけ昭和40年代風)でハイテンションな演技、というだけでも最高なのに、ヅラかよ!って竜二と一緒に突っ込んじゃったぞ。そのどん太の嫁さんに猫背椿ってのも素敵だ。竜二にこっそりお金を渡すところなんて、なかなかいい兄嫁ぶりじゃん。

あとは蕎麦屋の辰夫が尾美としのり(イボリー!)だったり、どん兵衛の弟子・林屋亭うどんが浅利陽介新選組!の周平)だったり、組長の息子が塚本高史だったり、ヒロシが元バンドのボーカルで今は電気屋ていう役で登場したり、いちいちウケる。

って、キャスティングのことだけで終わっちゃいそうな勢いだ。内容のほうに話を移さねば。

落語の見せ方はとても斬新だった。「三枚起請」という噺がストーリー自体のベースになっているわけだけど、寄席でどん兵衛師匠がそれを演じている場面に「三枚起請」の劇中劇が重なってくるのがおもしろかった。あれはきっと、虎児にはそういう風に見えていて、それほどにどん兵衛の落語に魅了された、ってことなんだよね。そして、私のように「三枚起請」を知らない落語初心者にも分かりやすかった。

で、こうやって「三枚起請」がどういう話か把握できると、その後メグミ(伊東美咲)を巡って起きる騒動が「五枚起請」になるという展開がおもしろくなるわけだ。

ま、メグミを巡る男たちのタトゥー騒動については筋がめちゃくちゃだという感想もあるようですが、私はそれほど気にならなかった。「騙された男たち」が次々現われ、その真相を竜二と虎児が追っかけていく展開が単純におもしろくて、細かいところまで気が回らなかったというか。

そして騒動の顛末が小虎(虎児)の「五枚起請」として語られるという、最初の「三枚起請」とも結びつくようなオチが良かった。

このドラマ、4月から連ドラか?との噂があるらしいですが、ぜひ連ドラ化してほしい!どん兵衛師匠の借金はまだまだ返せそうもないし、虎児もひとつしか噺を教わっていないし、連ドラになる要素は十分ありそうじゃないですか。それに何より、竜二の落語をまだ聞いていないし。